その便秘、病気かも?!猫に起こる巨大結腸症の原因と症状、治療法
今回は猫に引き起こされる巨大結腸症の原因と症状、そして治療法をご説明していきたいと思います。
猫の巨大結腸症とは?
猫には複数の消化器官が存在しています。
そのうち、肛門につながる直腸のすぐ手前の結腸という部分が何らかの原因で巨大化し、便が溜まってしまった状態のことを「巨大結腸症」といいます。
この巨大結腸症は犬では稀ですが、猫では比較的多くみられる病気です。
巨大結腸症になると結腸の排便を促すための蠕動(ぜんどう)運動の働きが弱くなってしまうため便秘を繰り返し、治療をせずにいると全身状態が悪くなり脱水状態に落ちいる可能性もあるため注意が必要です。
猫の巨大結腸症の症状とは?
巨大結腸症につながる症状としては、ひどい便秘が長期的に起こり続けることが一つの要因となります。しかし言葉を話すことの出来ない猫の便秘を知るためには、常に猫のうんちの状態などを知っておかなければなりません。
・トイレで便意をもよおすものの、なかなかトイレから出てこずにずっと踏ん張っている。
・何回もトイレを行き来し、うんちをしようとしているが出ない。
・小さな固いうんちがたくさん出ている。
以上のような排泄状態は便秘の兆候です。
また腸内の便が固くなりすぎている場合など、その隙間から液状の便が出てくることもあり、それを見た飼い主は下痢と間違えてしまうこともあります。
さらにいきみ続けることによって腸内を傷つけてしまい、粘液や血液などがうんちと一緒に混ざってしまうこともあるでしょう。
便秘の症状が続くと、食欲が落ちたり、いきみすぎて嘔吐したりという症状が見られることがあり、そのまま治療せずにいるとどんどん猫の全身状態が悪化していってしまいます。
猫の巨大結腸症の原因とは?
猫が巨大結腸症になってしまう原因としてはいくつか挙げることができます。
・先天的問題
これは生まれつきの異常で、結腸の一部が狭かったり運動機能が弱かったりする場合などに引き起こされます。また、骨格異常が原因の場合もあります。
稀に肛門が完全に閉鎖しているため排便が出来ずに、腸に大量の便が溜まってしまい結腸が巨大化してしまうこともあります。
先天的な異常が原因の場合は比較的若齢で発症し、治療は長期間にわたることが多いでしょう。
・外傷的要因
外傷的要因としては、交通事故などで神経を損傷してしまう、また骨盤骨折による骨盤狭窄が原因となることがあります。
神経の損傷により排便を促す神経が正常に働かなくなってしまったり、骨盤が狭くなることで便が骨盤を通過できずに便秘になってしまったりするのです。
また、異物などを誤飲してしまい通過障害を引き起こし、それが便秘につながり巨大結腸症を引き起こしてしまうこともあるでしょう。
長毛種の場合、飲み込んだ毛が腸の中で毛玉になってしまい、それが異物となって発症してしまう場合もあります。
・機能的要因
椎間板ヘルニアをはじめとする神経系に異常をきたす病気が巨大結腸症の原因となる場合があります。結腸の蠕動(ぜんどう)運動をつかさどる神経を圧迫し、異常をきたしてしまうのです。
この場合、身体のその他の部分にも症状が出ていることがあり、同時に治療をしていくことが必要です。
・生活習慣的要因
猫の巨大結腸症の原因として一番多く見られるものが生活習慣が原因となっているものです。
・普段から繊維質の少ない食餌を与えている
・慢性的な運動不足
・ストレスの多い環境にいる
・水分をあまりとらない
・トイレが常に汚れている
上記は一例ですが、猫は様々な要因から軽度な便秘を引き起こしてしまうのです。
そしてこれらのように最初は軽度な便秘だったものが、どんどん結腸内に便が蓄積され、その結果巨大結腸症を引き起こしてしまうことがあります。
猫の巨大結腸症の治療法は?
猫が巨大結腸症かどうかを診断するためには、触診にて腹部に溜まっている便を確認するほか、レントゲン撮影を行い腸内の便の様子と結腸の様子を確認して診断します。
その後、まずは溜まってしまっている便を排出させなければなりません。そのため用手排便と呼ばれる方法で便を腸内から掻き出していきます。
まず処置をする人(主に獣医師)が手袋に潤滑剤を付けて、肛門から指を挿入します。そして腸内にある便を少しずつ崩しながら掻き出していくのです。便や猫の状態により麻酔下で行われる場合もあります。
浣腸の処置が行われる場合もありますが、浣腸処置で使用する薬品の中には脱水状態を悪化させてしまう危険性があるものもあるため、猫の状態を見ながら慎重に行う必要があります。
しかし腸内に溜まっている便は非常に硬くて大きくなってしまっている場合が多いため、排出させるには一筋縄ではいかないことが多いです。
そのため、すでにぐったりとしている状態である場合などには、まず点滴を行い全身状態を改善してから処置を行う場合もあるでしょう。
便を排出し、腸内を空にさせてもそこで治療終了ではありません。結腸が巨大化してしまっているので、便の状態を改善しない限りまたすぐに溜まって詰まってしまうのです。
長期的な治療には、繊維質の多い療法食に切り替える必要があります。また、便をスムーズに排出させるのを助けるため、便軟化剤などを使用することもあります。
また便秘になって長期間が経過しすぎていたり、治療を行っても改善しない場合には外科手術が必要になる場合もあるでしょう。その場合も、手術後に食餌療法がとられます。
猫の巨大結腸症の予防法は?
愛猫が巨大結腸症を引き起こさないためには、日々の生活習慣が何より大事です。その中でも食餌は最重要になりますので、繊維質の多い質の良いフードを与えるようにしましょう。
そして便の中に少しでも水分を多く含ませるため、しっかりと飲水をさせることも大切です。猫はもともと大量に水を飲むことはないため、いつでもきれいな水が飲めるように工夫してあげると良いでしょう。
また肥満の猫は便秘になりやすくなるため、運動不足やフードの食べ過ぎなどにも注意しなければなりません。
室内で飼育される猫は運動不足になりがちです。定期的におもちゃで遊んであげたり、キャットタワーを設置したりして日ごろから運動できる環境を作ってあげましょう。
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