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5月25日はホゴネコの日 保護猫について考えてみよう

キャットケアスペシャリスト
増田暢子
[記事公開日]  [最終更新日]
5月25日は「ホゴネコの日」です。行政機関に引取られる猫の数や殺処分されてしまう猫の数は、年々減少しています。それでもまだ、年間に3万頭以上の猫たちが殺処分されています。日本の保護猫の現状を知り、一緒に暮らす猫の候補として、真っ先に保護猫を考えてみませんか。
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5月25日はホゴネコの日 保護猫について考えてみよう

5月25日はホゴネコの日

ご存知ででしょうか、5月25日は「ホゴネコの日」です。日本にはさまざまな記念日があります。伝統的に定着しているものもあれば、業界団体や企業がPR効果などを目的に制定したものまであります。日本では、一般社団法人 日本記念日協会がこれらの記念日を総合的に取りまとめています。

この「ホゴネコの日」は、日本における猫の殺処分ゼロを目指して活動をしている株式会社ネコリパブリックが制定し、日本記念日協会に登録しました。なぜ5月25日なのかというと、ホ=0、ゴ=5、ネ=2、コ=5という語呂合わせからだそうです。記念日制定の目的は、記念日を通じて多くの人に保護猫がなぜ生まれるのかを考え、ひとつの命を最後まで大切にする文化を日本に根づかせることだそうです。

そこで、この記念日をきっかけに、今回は保護猫について考えてみたいと思います。

日本における猫の引き取りおよび処分の現状

昭和48年に制定された動物愛護管理法により、所有者が自治体に犬や猫の引き取りを求めた場合、自治体は引き取らなければならないと義務づけられました。その後、所有者からの引き取りを拒否できるような改正が行われましたが、条件に満たない場合は引き取らなければなりません。

引き取られた犬や猫は動物愛護センター等の施設に収容されます。しかし、一定期間を過ぎると殺処分されてしまうのが現状です。なぜならば、動物愛護センター等の施設は行政機関であり、税金で賄われているため、増え続ける犬や猫を終生飼養することが不可能だからです。

環境省のホームページに掲載されている平成30年(2018)の統計資料によると、猫の引き取りおよび処分に関する数値は下記のように公表されています。
〈猫の引き取り数〉
総数    :56,404頭
内飼い主から:10,450頭(18.5%)(成猫:6,960頭/幼猫:3,490頭)
内所有者不明:45,954頭(81.5%)(成猫:11,899頭/幼猫:34,055頭)
〈猫の処分数〉
総数   :56,391頭
返還数  :287頭(0.5%)(内幼猫:63頭)
譲渡数  :25,347頭(45.0%)(内幼猫:16,113頭)
殺処分数 :30,757頭(54.5%)(譲渡不適:11,477頭/譲渡可:12,682頭/死亡:6,598頭)

この数値を見てわかるように、1年に3万頭以上の猫が殺処分されているのが現状です。しかし、上記数値の経年変化を見てみると、引き取り数も殺処分数も共に減少し、返還・譲渡数は徐々に増加してきています。(詳細は環境省のホームページをご参照ください)

この経年変化は、行政機関と民間の双方の努力や協力も含めた、保護猫活動の成果が大きいと考えられます。保護猫とは、保護された猫のことです。捨てられてしまったり、迷子になったり、ペット産業界の中で繁殖引退等により不必要とされてしまったり、動物愛護センター等の行政機関に引き取られたりした猫たちを保護し、里親をみつけようとするボランティア団体やビジネス(保護猫カフェ、保護猫付きの不動産等)の成果が出ているのだと考えられます。

日本における保護猫活動の現状

国内における全ての保護猫活動の状況を網羅するのは難しいですが、ここでは保護猫活動の例として、「ホゴネコの日」を制定した株式会社ネコリパブリックの活動内容をご紹介したいと思います。

この会社は、2022年2月22日までに日本の行政による猫の殺処分をゼロにすることをミッションとして掲げ、ビジネスとして自走できる保護猫活動を目指している会社です。保護猫カフェ事業およびそのフランチャイズ展開により保護猫の受け皿を作り、イベント事業・出版事業・ブランド事業・里親との連携によるたすけあい制度およびさまざまな企業との連携により保護猫の出口を作り、TNR活動(野良猫を捕獲し、避妊・去勢手術を行い、元の場所へ戻すことで望まれない猫の繁殖を抑える活動)により猫が無闇に繁殖してしまう蛇口を閉め、猫グッズ等の製造/卸し/販売や飲食店事業・コンサルタント事業・PR支援事業により保護活動の継続を図っています。

もちろん、全国各地にTNR活動を含めた保護猫活動を行なっているボランティアの個人や団体も数多く存在しています。もし、あなたがこれから猫と一緒に暮らしたいと考えておられるのであれば、保護猫の里親になることを真っ先にご検討頂ければと思います。

保護猫の里親になりたい

では、実際に保護猫の里親になりたいと思った場合、どうすれば良いのでしょうか。

まずは、ご自身がお住まいの地域にある動物愛護センターや動物愛護団体を探しましょう。インターネットの検索サイトで検索すれば、地域の動物愛護センターはもちろん、数多くの動物愛護団体をみつけることができます。また、保護猫の里親探しを行なっている動物病院もありますので、近所の動物病院に声をかけてみるのもおすすめです。

インターネットの情報には、譲渡候補の保護猫たちの情報が、写真も含めて掲載されていますが、定期的または不定期に譲渡会を開いていることが多いので、譲渡会の情報も合わせてチェックしておきましょう。譲渡会では、実際に猫たちに会うことができるからです。やはり、写真や文字の情報だけではなく、実際に会って相性を確認することをおすすめします。

その際、譲渡会のマナーを事前に知っておくことが大切です。譲渡会は、大勢の里親候補と譲渡候補の猫たちが集まる場です。里親候補は自分たちの意思でその場に出向くのですが、猫たちはいきなり譲渡会に連れてこられ、大勢の人たちと接するわけですから、多くのストレスを受けることになります。

そのため、出来るだけ猫たちにストレスをかけないようにすることが譲渡会でのマナーになります。特に、下記に注意しましょう。
・猫に顔を近づけ、じっと見つめない(見つめる=猫に喧嘩をうる行為)
・大きな音を立てない
・猫が入っているケージを揺すったりぶつかったりしない
・勝手に猫に触らない
・勝手に持参したおもちゃを与えない
・勝手に食べ物を与えない

会場には必ずスタッフがいますので、勝手に振る舞わず、「抱きたい」とか「遊びたい」と頼んでください。また、気に入った猫がいたら、詳しい情報をスタッフに直接確認しましょう。

一緒に暮らす猫は子猫が良いと考える方も多いでしょう。しかし、子猫の場合はそれだけ世話をする時間も必要になります。活発に動きまわりますし、エネルギーが有り余っています。日中もどなたかご家族が家にいて、子猫の世話をでき、一緒に活発に遊んであげられる時間がたっぷりある場合は良いですが、一人暮らしや共働き等でご家族がほとんど家にいないという環境の場合は、成猫の方が一緒に暮らすには適していると言えます。

このように、一緒に暮らす猫を選ぶ際にはご自身の家庭環境やどのように暮らしたいのかをよく考え、それにふさわしい年齢や性格の猫を選ぶことをおすすめします。

野良猫を保護したい

あなたがお住まいの地域に、どうしても気になる野良猫がいて、その猫をご自身で保護したいという場合にはどうすれば良いでしょうか。

この場合、あなたご自身が猫を捕獲するために必要なものを揃え、捕獲作業を行わなければなりません。場合によってはご近所の方にご迷惑をかけることになるかもしれませんので、野良猫を捕獲することを、事前にご近所の方達にも伝えておき、迷惑にならないような策も講じておくようにしましょう。

野良猫の捕獲には、下記の物を準備します。
・捕獲器(購入またはレンタルで入手可能)
・捕獲した後に使用するキャリーバッグ(ケース)
・タオル(キャリーバッグにかけて使います)
・作業服(怪我をしないように、肌を露出しない服装と厚手の手袋等)
・猫の餌とそれを入れておく器

捕獲するためには、下記の手順を数日間かけて行います。
・保護したい猫の行動を確認し、捕獲器を設置する場所をみつける
・餌を入れた器の設置
・定期的に見回り、状況を確認する
・猫が餌の場所を認識したら、餌を入れた捕獲器を同じ場所に設置する
・定期的に見回り、状況を確認する
・捕獲できたら、猫を落ち着かせてからキャリーバッグに移す
・そのまま動物病院へ連れて行き、健康チェックとマイクロチップの確認をしてもらう

無事に猫を保護し、動物病院での健康チェック等が済んだ後は、その猫が迷子ではないかということを、保健所、警察署、SNS等で確認しましょう。迷子だった場合は、相手に連絡をとり、今後の相談をしてください。

迷子ではなくご自身で飼育するということになった場合は、ケージ、毛布、トイレ、猫専用の食器、キャットフード、おもちゃ等を準備して、一緒に暮らします。もしその猫が未去勢・未避妊の場合は、動物病院で去勢・避妊手術やワクチンの接種をすることをおすすめします。

それまで野良猫として生活していた猫なので、すぐになつくというのは難しいでしょう。猫との距離を縮めるには時間が必要です。気長に根気よく猫との距離を縮めていきましょう。

猫と一緒に暮らそうと思った時の選択肢としてぜひ保護猫を考えてみて

一番最後にご紹介した実際に野良猫をご自身で保護した場合を除き、譲渡会で出会える猫たちのほとんどは、ある程度人に馴れて一緒に生活できる程度にまで達しています。スタッフの方に詳しい状況を聞いたり、ご自身の生活スタイルなどを伝えることで、より相性が良いであろう猫を紹介してもらえるでしょう。

今の日本における猫の引取や処分の状況を考えると、一緒に暮らす猫との出会いの場として、是非とも保護猫を真っ先に選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。そして、ご自身のこれからの長い人生の中で、一緒に暮らす猫たちを決して再び家族のいない猫にしないよう、終生一緒に暮らす覚悟を持って新しい一歩を踏み出して頂きたいと思います。

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