猫の巨大結腸症の診断と治療

結腸管腔内外の疾患など二次的な巨大結腸の診断を行い、内科治療に十分反応が見られなければ外科手術適応となりますのでこの記事を参考にしていただければと思っています。
巨大結腸症とは?
巨大結腸症とは、様々な原因により結腸から便が排泄されずに腸内に蓄積し、その結果としておこる結腸の機能障害の総称です。
二次的に巨大結腸を引き起こすことが知られている病気は、外傷による骨盤の変形癒合が原因で起こる骨盤腔の狭窄や異物や腫瘤による結腸の閉塞性疾患、会陰ヘルニアがあります。
ですが、猫の巨大結腸の多くは特発性であり、結腸の神経機能障害に由来するのではないかと言われています。

猫の巨大結腸症の診断は?
発症の多くは中年齢〜高年齢に多くみとめられ、1〜15歳齢までと幅広く、平均発症年齢は5〜7歳です。
身体検査では脱水の評価や腹部触診による硬い便の触知、直腸検査で骨盤腔の広さや腫瘤の有無、便の性状を評価します。
腹部レントゲン検査にて、糞塊が貯留して重度に拡大した結腸を確認しておきます。加えて、骨盤骨折や癒合の有無も評価しておきます。

巨大結腸症の内科的治療
各種検査により鑑別疾患を除外した結果特発性結腸障害と診断された患者では、まず内科的治療から始めていきます。多くの場合、長期的な管理は難しいく治療が奏功しない場合が多いのですが、うまく治療に反応してくれる子もいるので、初発の便秘で来院された場合にはまず試してみるといいでしょう。
1.用手摘便
可能な限り直腸を傷つけないように便を掻き出していきます。
2.薬剤投与
直腸内の糞塊を取り除いた後、再貯留防止として緩下剤と消化管運動促進剤、高繊維食への切り替えなどを考慮します。
緩下剤には、膨張性緩下剤や潤滑性緩下剤、浸透圧性緩下剤があります。
外科的治療
物理的な糞塊除去や薬物に対する反応が乏しく、便秘状態が慢性的に繰り返される場合はQOLの上昇を目的とした外科的治療を考慮していく必要があります。
術式としては結腸亜全摘手術が一般的です。
予後
猫の特発性巨大結腸症に対する結腸亜全摘術の予後は比較的良好であることが多いです。
一方で、外科的処置を避け摘便と薬物療法を継続している患者の予後は要注意です。
便秘に伴う食欲不振が持続することで徐々に衰弱していくことが予想されます。
どこで内科的治療から外科的治療に変えていくかが大切なのでその判断をしっかりされていくといいかと思っています。
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