愛犬の耳がぷっくり腫れている?!それはきっと「耳血腫」です
ちょっと様子を見ようと・・・油断していると、耳がぷっくり腫れていてまるでぬいぐるみみたい?!になっている、そんなことがあるかもしれません。あわてて触ってみるとなんだか熱いしワンちゃんもすごく嫌がってしまう。もちろん痛いからですよね。
この病気、「耳血腫」はそうなってから慌てて治療すると、想像以上に時間もお金もそしてわんちゃんの負担も大きいのです。
少し長いですが、ぜひこの耳血腫を知って、予防と早期発見に努めましょう。
この病気は「耳介」と言ってわんちゃんの頭の外に出ている耳の部分にあるいわゆる耳たぶが、内出血を起こしてしまい軟骨と皮膚の間のスペースに血液や分泌物物をため込んでしまっている状態のことをいいます。
多くはワンちゃんで起こりますが、猫ちゃんでも起きることがある、そう珍しい病気ではありません
耳血腫の症状とは?
ペットの耳がぷくっと膨らんでいる!、そういった見た目の変化で飼い主さんはほとんどの方が気づかれます。
耳血腫になっている耳は熱を持ち、違和感や不快感があるため、わんちゃんはその耳を引っ掻いてしまったりしきりに頭を振ったりするようになります。
より悪化すると耳の中がただれてしまうこともあるため、飼い主さんが確認しようと耳を触ろうとすると、怒ったり嫌がって逃げてしまうこともよくあります。
悪化するほどもちろん治療は困難になるので、こういった症状が見られたらすぐに動物病院へ行きましょう。
耳血腫の原因とは?
耳血腫になってしまう原因は1つではなく、様々なものが複雑に絡み合っていると考えられています。
①外部からの刺激:最も多く見られるもので、耳の中の炎症である外耳炎、耳ダニなどの寄生虫感染、皮膚炎やアレルギー、また耳の中にできてしまった腫瘍やイボが原因で、わんちゃんが耳をしつこく掻いてしまうことで、耳たぶに打撲や摩擦が起きて内出血となり、その結果耳血腫になってしまいます。
この場合、耳の痛みやかゆみが先に生じているため、日ごろから耳の中のチェックやわんちゃんの様子によく気を配りましょう。
②直接刺激:喧嘩や事故などで、耳を噛まれたり挟まれてしまう、耳介に物理的な刺激が加わってしまったことにより生じる内出血から耳血腫になってしまうものです。
③自己免疫性疾患:耳の状態に全く問題がなく、他の犬とのトラブルや事故もないのに急に耳血腫になってしまうことがあります。
これはもともともっている体質としてアトピーや食事性のアレルギー症のわんちゃんがある程度の割合いるため、身体の末端の血管に対する自己免疫性の病気が関係している可能性が考えられています。
耳血腫の治療とは?
治療は大きく手術による治療とと対症治療に分かれます。
①手術による治療:最も一般的に行われる治療法です。
耳たぶを何箇所か切開、もしくはパンチで穴を開けることで溜まっている血液や固まってしまっている分泌物の塊を除去します。そしてスペースになってしまっている軟骨と皮膚をしっかりと縫い合わせ、再び血液がたまらないように圧迫固定します。
すぐに出血が止まるわけではないので、じわじわ溜まってくる液体を外に出させるようにドレーン(ストローのようなもの)を縫い付ける場合もあります。
手術したらそれで治るわけではなく、内出血が収まるまでは定期的な包帯交換や傷のチェックが必要になるので手術後もしばらく通院します。
せっかくの包帯をとってしまったり、耳の形を悪くしないようにするためしばらくは安静が求められます。また同時に耳の炎症や感染があった場合その治療も行います。
手術後の間にはおうちで大変なこともありますが、ペットちゃんの耳をきれいに形を保つためには1番確実な方法です。
②対症治療:スペースにたまった血液や分泌物を注射器をさしてゆっくりと抜いていきます。ただしこの方法ではその場では抜けてもまたすぐにたまってきてしまう、そのため治すと言うよりもその場しのぎになってしまうことがほとんどです。
またそれを繰り返すことにより皮膚が分厚くなり、刺したときの痛みが強くなり処置が難しくなること、また耳の形が悪くなってしまうこともあるため、最近ではできるだけ抜かずにインターフェロンという免疫の薬を注入することで吸収や内出血の広がりを抑えることが主流になってきています。
免疫に関与するものなので、ペットちゃんによって個体差がありきれいに治る子もいますが一方でなかなか結果が出ない子もいます。またインターフェロン自体高額なお薬になるため何回も繰り返すことで手術とあまり変わらない金額がかかってしまうこともあります。
どちらの方法もメリットデメリットがあります、ペットちゃんの状態や年齢、金額的なものも含めかかりつけの獣医さんとよく相談して治療を進めていきましょう
お家でのケア
耳血腫ははっきり言ってしまえばそれ自体が命に関わる病気ではありません。
しかしペットは痛みや不快感を強く感じているため、大きなストレスがかかったままになってしまいます。また放っておくと時間が経つにつれ耳の軟骨が変形してくるため、耳の形が来宿主に縮んできてしまい分厚く小さくなり見た目も悪くなってきます。
また、残念ながら再発する可能性もあります。
お薬を飲めば治るような単純なものではありませんが、外耳炎など他に原因がわかっている病気がある場合は手血の治療と同時にその病気の治療も並行して行っていくことが、耳血腫を早く治しまた再発を予防することになります。
病院での指示をしっかり守り、治療を途中で止めず最後まで続けることが再発の大きな予防になります。
また日ごろのケアを怠らないよう、ワンチャンの痛みが収まったら耳掃除を習慣化してあげましょう。
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