気管虚脱に対する内科的治療法
咳のメカニズム
咳は気道の刺激受容体の1つである咳の受容体を刺激することにより、神経を介して延髄にある咳中枢に情報が伝達され、そして神経を介して横隔膜、肋間筋、声帯や腹筋などが動くことで発生します。咳受容体は肺にはないため肺実質に限定した疾患では咳兆候は示しません。
咳の原因
動物における咳を誘発する刺激には①機械的刺激②化学的刺激③炎症性刺激④温度刺激です。
もっとも重要な刺激は①の機械的刺激であり、異物による刺激、気管や気管支の捻れの刺激、心拡大、縦隔腫瘍や肺腫瘍による気管、気管支の外からの刺激があります。
②は刺激性のガスや有毒ガスなどが原因。
④の温度刺激は冷気吸入により誘発されます。
咳を強制的に止める薬剤
①鎮咳作用のみをもつ
酒石酸ブトルファノール 0.05〜0.5m/kg 静脈あるいは経口投与。これは、効果としてコデインの100倍、モルヒネの4倍の薬効を持ちます。
②鎮咳作用と去痰作用をもつ
リン酸コデイン 0.5〜2mg/kg 経口 1日2〜4回
臭酸水素酸デキスロトメタルファン 0.5〜2mg/kg 経口 1日3〜4回
などが挙げられる。
また、ライトゲンシロップという リン酸ジヒドロコデインとエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミンが含まれている薬も使われつつあります。
気管支拡張剤
①キサンチン系薬
アミノフィリン 犬 5〜10mg/kg 猫 5〜6.6mg/kg 1日2〜3回 経口投与
テオフィリン 犬10〜20mg/kg 1日2回 経口 猫 20〜25mg/kg 1日1回
②交感神経作動薬
塩酸エフェドリン 犬 1〜2mg/kg 猫 2〜5mg/cat 1日2回などがある。
抗菌薬
マクロライド系の少量長期投与が進められています。
エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなどです。
いずれも半量〜1/4量で使われることが多いです。
これらは炎症のサイトカインの産生や走化因子の産生抑制など抗炎症作用を有します。
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