シニア猫の仲間入り?体の変化と注意すべきこと
でも、猫も人間と同じように年相応の対応が必要になってきます。
今回は、猫のシニアの兆候と注意すべきことについてご紹介します。
●猫は何歳からシニアの仲間入り?
近年、ペットの飼育環境が改善し、室内で飼育させることによって、気候、温度差などのストレスから解放され、感染症に罹る危険性も大幅に減少してきました。人間と同等のレベルの安全性や衛生水準のもとで生活するようになったことや、ペットフード、医療の向上によって猫の寿命もどんどん長くなっています。
≪猫と人間の年齢の目安≫
・生後6ヵ月まで:子猫期
・生後7ヵ月~2歳:青少年期
・3~6歳:成猫期
・7~10歳:中年期
・11~14歳:高齢期
・15歳~:後期高齢期
猫の場合、10歳前後からシニアの仲間入りとなります。ただ、あくまでも目安なので生活環境などによって個体差はありますが、一つの目安として生活の“質”をできるだけ高く維持できるように、早めにフードの変更や後々の介護の計画など、対策を考えておくことが望ましいです。
●高齢になった時に現れるサインとは?
猫も高齢になるにつれ、人間と同じように老化のサインが出てきます。一般に7~8歳を過ぎると次のような兆候が現れはじめ、12歳を過ぎると老化の兆候が顕著になってきます。
・視覚、聴覚、嗅覚などの感覚が徐々に衰える。
・行動意欲、注意力が低下し、物事に対して無関心になる。
・筋肉、骨格の柔軟性や反射神経が低下し、活動が鈍くなる。
・睡眠が深くなり、睡眠時間が長くなる。
・被毛の艶がなくなり、毛色が白くなる。
生活環境が変わらない状態では、外見上は支障なく生活しているように見えますが、飼い主は猫の日常に注意を払い、老化の兆候を見落とさないように観察しましょう。
●老化のサインが現れたら?
老化のサインが現れたら、まずは食事を見直してみましょう。高齢になると、筋肉が落ちて動作が鈍くなったり、肥満になりやすくなります。これらはさまざまな病気の原因になるので、年齢に合った適切な食事管理が大切になります。
老化そのものは病気ではありませんが、老化に伴い消化吸収能力、代謝機能、免疫機能が低下することによって腎臓病、糖尿病、関節炎など様々な病気に罹りやすくなります。また、塩分の多い食餌が心臓や腎臓の負担になることは人間の場合と同じなので、まずは消化の良い良質の栄養素を与えられるように配慮することが重要です。
●シニア用フードあれこれ
シニア猫に必要な1日のカロリーは体重×60kcal。必要なエネルギー量と栄養素をバランスよく配合した、高齢期用のキャットフードが多く市販されています。
シニア用のフードは、基礎代謝量の低下したシニア猫の健康維持に配慮して、カロリーが控えめになっており、不足しがちな栄養素を強化したり、さまざまな機能性成分を配合したものが多くなっています。
フードの切り替えは胃腸に負担をかけないように、食べ慣れたフードに新しいフードを1割くらい混ぜ、毎日割合を増やして徐々に切り替えるようにしましょう。
≪高齢猫の食餌と栄養素≫
・タンパク質
高齢による代謝機能の低下によって、体内ではタンパク質の分解と合成が困難になっていきます。タンパク質には「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」があります。猫は肉食動物なので、植物性タンパク質ではなく、動物性タンパク質が必要になります。高タンパクの食餌は腎臓に負担となるため、30%前後を目安に消化しやすく吸収しやすい良質のタンパク質を適量与えるようにしましょう。
・脂肪
エネルギー必要量が低下しているので、肥満防止のために脂肪分の摂取は控えめにしましょう。
白身魚やターキー、鹿肉など、脂肪の少ない肉類を使ったものが好ましいです。しかし、体内で合成されない必須脂肪酸の摂取は必要です。例えば、不飽和脂肪酸の一種で魚油に含まれるエイコサペンタエン酸は、頭の良くなるサプリメントと呼ばれ、痴呆症状の改善に効果があると注目させています。
・食物繊維
高齢猫は、消化機能の低下によって便秘を起こしやすくなります。腸の運動を促進する効果がある食物繊維を適度に摂取することで胃腸の働きを整え、便秘の予防に役立ちます。ただし、セルロースなど消化できない繊維を含むものは消化不良や便秘の原因になることもありますので避けた方がよいでしょう。
・ミネラル
ナトリウム、リンは、バランスよく摂取することが重要です。
猫では、ナトリウムの過剰な食事が腎臓病を悪化させ、シニア猫ではリンの過剰摂取も腎臓病を悪化させる原因になるので、食餌管理には十分に配慮する必要があります。ナトリウムやリンの含有量を調整したフードが市販させているので、体調をみながら普段の食餌に取り入れてみましょう。
・ビタミン
食餌中の脂肪分を控えると、脂溶性のビタミンの吸収量も減ってしまいます。
ビタミンEには、老化の元となる活性酸素の働きを抑制する効果があり、解毒に関与し、シニア猫では要求量が増加していると考えられます。
また、タンパク質や脂肪の代謝を助けるビタミンB群も欠かせません。
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