飼い犬が異物を飲み込んだ⁉動物病院での治療法や防ぎ方とは?
近年では室内で飼育される犬の割合のほうが高くなってきました。
犬はとても好奇心旺盛な生き物のため、人間と一緒の空間にいることにより本来口にしてはいけないものを飲み込んでしまうという事故をたびたび目にします。
では万が一、犬が異物を飲み込んでしまったときには、どのような治療法がとられるのでしょうか?
今回は動物病院で行われる一般的な治療法をご紹介します。
異物となり得るもの
人間とともに暮らしている犬には、異物となり得るものがたくさんあります。
実際に異物として摘出されたものの例として
・ゴルフボール
・とうもろこしの芯や梅・桃などの種
・靴下
・ハンドタオル
・焼き鳥の串
・おもちゃのボール
・湿布
などが挙げられます。
もちろんこれらは一例で、好奇心旺盛な犬は電気コードやバスタオルなど、
なんでも異物となり得てしまうのです。
異物の中でも特に注意しなければならないものがボタン電池、湿布、タバコ、観葉植物、そしてひも状の異物です。
ボタン電池は胃や腸内に張り付き、炎症を起こし穴をあけてしまうことがあります。そして湿布やタバコ、観葉植物は異物として閉塞してしまうだけではなく、中毒を引き起こしてしまうため早急な治療が必要です。
またひも状の異物を飲み込んだ場合も腸が絡まりアコーディオン状になってしまうと、最悪の場合腸が壊死してしまうことがあります。
そうなってしまうと命の危険が伴うため、犬の様子をよく見ながら病院へ連れていきましょう。
病院で行う検査方法
異物を飲み込んでしまった場合、動物病院ではどのような検査をおこなうのでしょうか。
まずはレントゲン検査です。
異物が金属などであればはっきりとレントゲン上に写りますので場所の特定ができます。
また、異物がレントゲン上ではっきり見えない場合でも、閉塞をしてガスが溜まっていないか、胃内に液体貯留があるかどうかを判断する材料となります。
次に超音波検査です。
超音波検査では胃内にある異物の影や腸の動きを目で見ることが出来ます。
また異物の大きさを測ったり、閉塞している場所の目途をたてたりすることが出来ます。
さらに異物を飲んで時間がたっている場合、バリウム検査を行うことがあります。バリウムが胃や腸の中をどのように移動ずるのかをレントゲンで見ることによって、異物がどの場所にあるのかを判断するのです。
病院で行う治療『催吐処置』
異物を飲み込んであまり時間がたっていない場合、主に行われる処置です。
自宅で飼い主が行うことも出来るようですが、病院で行ったほうが安全でしょう。
ただし、催吐処置には適さない異物が多くあります。
先のとがっている針や串などは吐かせる際に食道を傷つけてしまう可能性がありますので催吐処置は出来ません。
また、ひも状異物も吐く際に嫌食道に絡まってしまう危険性があるため吐かせることは不可能です。
催吐処置は注射、もしくは薬を飲ませて吐かせます。異物とともに胃内のものが吐き出せれば完了です。
治療後は一般的には聞け度目の注射、脱水予防のための点滴をしてから帰ります。基本的には日帰りで行われます。
通常、異物が処置で出てしまえば治療は終了ですが、2~3日は吐き気止めの薬を飲む場合もあるでしょう。
病院で行う治療『内視鏡』
催吐処置をしても異物が出てこなかったり、時間がたってしまったりしている場合に内視鏡を行います。
内視鏡とは人間でいう胃カメラです。先端にはカメラのほかに小さな穴が開いており、そこから様々な鉗子を使って異物を取り出します。
内視鏡は全身麻酔となりますが、身体にメスを入れることがないので動物の体に優しい治療を行うことが出来ます。
また、異物の摘出と同時に胃内の様子を観察することが出来るため、炎症の度合いや潰瘍の有無なども診断することが出来ます。
病院で行う治療『開腹手術』
ひも状の異物が腸に絡まってしまっていたり、内視鏡で摘出が困難だったりする場合、全身麻酔下での開腹手術が行われます。また鋭利なものを飲み込み、腸に刺さってしまっている状態(腸穿孔)でも行います。
いづれの場合も異物のある場所と状態によっては腸を切除しなければならないこともあるでしょう。
異物癖のある犬は、飲み込んでいる異物が現在症状を引き起こしているものだけではない可能性があるため、開腹手術をした際には胃内や腸内に他の異物がないかどうかを確認し、閉腹します。
開腹手術をした場合は術後の管理が大事になるため、数日~1週間程度の入院となることが多いでしょう。
異物を予防するためには
異物癖がある犬は、何度でも同じように異物を飲み込んでしまいます。また、いままでは大丈夫でも何かの拍子に異物を飲み込んでしまうかもしれません。
そのようなことにならないために、常日頃から犬の生活スペースには異物となり得るものを置かないように注意しましょう。
また、ソファーやスリッパ、電気コードを噛んでしまう場合には、飼い主が留守にする際にクレートやゲージに入れるのもひとつの策です。
その場合はクレートトレーニングなども必要となってくるので、小さなころからケージやクレートに慣れさせておくと良いでしょう。
愛犬に麻酔や手術で大きな負担をかけぬよう、飼い主がしっかりと対策をして異物から守ってあげましょう。
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