寒すぎるのも危険!猫の低体温症を知っていますか?
しかしいくら猫でも、いろいろな条件が重なればやはり体温を維持することができなくなってしまうのです。正しい知識を身に着けておくことで、愛しい猫ちゃんを助けることができるかもしれませんよ。
実は猫にも低体温症は一般的で、放っておくと命の危険に陥ることもあるような、なかなか怖い病気なのです。
いざという時のため、正しい知識を身につけておきたいですね。
低体温症はどんな病気?
哺乳類などの恒温動物の体温は、血液や皮膚表面の温度の変化に応じて、脳にある視床下部で一定の範囲に保つことができるよう、意識しなくても自動的に調節がされています。
低体温症は、この自動調整機能がなんらかの原因で働かなくなってしまう病気です。
獣医学的にはお尻から測る体温である直腸温などの中心体温が37.5℃以下になった状態をいい、改善することなく直腸音28℃以下の重度低体温症に陥ってしまうと、心臓の動きが止まる心停止を起こしやすく、命を落とす危険がある大変重篤な状態です。
低体温症に陥ると、よく見られる症状としては体温の低下とともに体温を維持しようと体が反応して、全身の皮膚の血管が収縮しそれに伴って震えが出現します。
それでも改善することなくさらに体温が低下し続けると、31℃未満になると震えを起こすことができなくなり、替わりに筋肉が硬直し、脳の活動も低下し始めてしまうため、意識がなくなる昏睡、血圧の低下、心臓の動きが悪くなる徐脈などが認められます。
さらに28℃以下になると呼吸,脈拍,血圧などがさらに下がり,仮死状態,そして回復することができなければ死亡となります。
低体温症は何が原因なの?
低体温症は、脳にある体温の調整機能がなんらかの原因で働かなくなってしまう病気です。主な原因は以下のようなものがあげられます。
①子猫:子猫はまだ体温の調節機能が未熟であり、全身を覆う毛の密度や皮膚も薄いため、体温が逃げやすい状態です。そのため、ある程度成長するまでは母猫や兄弟猫に常に寄り添い、体温を逃さない工夫がされています。
何らかの原因で集団からは離れ、その状態で天候により全身が濡れてしまうと急激に体温が奪われ低体温症に陥るリスクが高くなります。
②老猫:高齢になると、いくつもの持病をもっておりその影響からより体温を維持することが困難になっていたり、そもそも寒さを自覚することが難しくなっていることもあります。
実際、人においては2017年の国内の熱中症での死亡者の数は635人であるのに対して、凍死の死亡者は1,371人となっており、なんと凍死者の方が倍以上多くなっているのです。また、この凍死者のうち、65歳以上は1,105人となっており、凍死全体のうち、実に80%以上が高齢者となっているのです。
長生きしてくれる猫が増えているシニアペット社会においても、同様の危険がある可能性があります。
③甲状腺機能低下症:代謝をつかさどり熱の産生に大きく関わっている甲状腺は、高齢猫では一般的に「機能亢進症」が多く見られます。しかしそのコントロールがうまくいかなかったり、甲状腺切除術を行った後の体調によっては「機能低下症」に移行することもありえます。
④長時間の麻酔:交通事故などの緊急性があり、かつ体の機能異常があり、長時間に及ぶ麻酔は体温を維持することが難しく、麻酔リスクがあがり、体への負担がより心配されます。
その他にも、自宅から脱走した猫が悪天候で避難することができず、人の山での遭難に近い状態になるような偶発的に起こるものもあれば、アルコールなどの誤食による薬物中毒や糖尿病性昏睡などの意識障害で起こるものもあります。
また外にいる猫が何らかの理由で長期間食べることができず低栄養に陥って体温を維持できなくなる衰弱による低体温症もあります。
低体温症はどんな検査をするの?
低体温症は緊急性が高い状態なので、治療と検査が同時に行われることが多くあります。
①問診:猫が発見された時の状態やこれまでかかった病気に関する治療歴などから、低体温に陥った原因を探ります。
②一般身体検査:体温測定はもちろん、脈拍や呼吸数、意識反応などから重症度を判定します。
③血液検査:内臓に与えられている影響を調べ、より確実に救命できる治療へとつなげます。
その他必要であれば、超音波検査やレントゲン検査、血液ガス測定などが追加されることもあります。
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