猫の不適切な排泄と尻尾追い行動について

常同行動とは?
常同行動とは猫の正常な維持行動から派生して、状況と関連なく反復的かつ誇張的、儀式的、持続的に行われる一連の動作です。
その行動によってその動物の正常な行動が妨げられている状態は常同障害と言われます。
常同障害はストレスや環境要因だけでなく、遺伝的要因、神経伝達物質の異常、脳の構造の変化などの病院が関与していると考えられている疾患です。
猫で多い常同行動は尻尾追い行動、齧る舐めるなどの行動などが代表例です。
尻尾に対する自傷行動の原因の可能性
①遺伝的要因
オリエンタル種は過度のグルーミングの好発種として報告されている。
※オリエンタル種とはくさび形の頭、細くしなやかな胴、長い四肢と、ムチのような尾が特徴です。
②環境ストレス
愛情欲求が高い猫に多く、家族との分離、留守番の時間が長いなど。
③知覚過敏
なんらかの神経的な問題により過敏になってしまう。
④外傷性
一度できた傷が気になり繰り返してしまう状態。
治療
①エリザベスカラーによる外傷の増加や悪化を防ぐ
②留守中の環境負荷の軽減
オモチャなどで狩り遊びをさせ、尻尾から興味を逸らす
③薬物療法
抗うつ薬や抗不安薬による治療
④行動の阻止
自宅にいる時に尻尾追いや齧りが起こりそうな時に声をかけて中断させる
⑤日々の行動の記録
客観的な行動のデータが得られ、治療していく上で飼い主のフォローに繋がる。

自傷行動まとめ
問題行動の悪化は飼い主の精神的ダメージが大きい場合が少なくないです。
常同障害のような持続的な自傷行動を示す場合は日常的にその行為を目にするため心情的な負担が増えるため飼い主の心のケアをしっかりしていく必要もあります。
加えて常同障害は再発し易し疾患であり、その傾向や行動のパターンを把握して早期に治療を開始することが望ましいです。
不適切な排泄とマーキング
背景には基礎疾患や生活環境や排泄環境、さらにはそれらに関連するストレスや不安といった問題があることが多いです。
不適切な排泄とマーキングの違い
①姿勢 マーキング:立位(座位のこともあり)
不適切:座位
②排泄量 マーキング:少量
不適切:多量
③トイレの使用 マーキング:通常時は使う
不適切:使わなくなる
④対象場所 マーキング:垂直な場所(水平面のことも) 不適切:好みの場所
⑤排便行動 マーキング:通常はトイレ
不適切:不適切な場所

不適切な排泄治療
基本的には不適切な場所に近づけないが主な方法であるが、排泄によって不安やストレスを軽減させていることがあります。
根本的には不安が関わっている場合は薬物療法などが理想ですが猫に対する投薬は比較的難しいため環境の改善や行動療法など飼い主の負担にならないやり方を模索する必要があります。
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