ペットフードの栄養基準を定めているAAFCOとは?
AAFCOは牛や豚といった家畜やペットとして飼われている犬や猫が食べる飼料やペットフードの栄養価の基準を規定している機関です。
今回はそのAAFCOがどんな機関なのか、AAFCOの基準がなにを意味しているのかについて詳しく解説します。
AAFCOとは?
AAFCOは米国飼料検査官協会=The Association of American Feed Control Officialsの略称です。日本では「アフコ」や「アーフコ」と呼ばれています。
アメリカの非営利団体であるAAFCOは、名前のとおり飼料=家畜やペットフードを含めた飼料の栄養価の基準や安全性の基準、パッケージに記載される表示の基準などを規定しています。
1992年と1993年にAAFCOが犬と猫の推奨栄養成分表を発表しました。この基準がさまざまな国や地域に取り入れられた結果、事実上の世界標準となりました。日本の「ペットフード公正取引協議会」がこの基準を採用しています。
ただし、注意しなくてはならないのは、AAFCOが規定しているのはあくまでもアメリカのペットフードなどの基準であって、それ以上でもそれ以下でもないということです。
また、AAFCOはペットフードの栄養価の基準を規定しているだけで、ペットフードについての検査や認証、認定をおこなっているわけではありません。
ちなみに、ヨーロッパにはFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)というAAFCOと同じような機関があります。詳しくは後述します。
AAFCOの定める栄養基準とは?
AAFCOでは、成長期、維持期といったライフステージ別に必要な栄養素の下限値や危険性のある原材料の上限値を決めています。
これらの基準は継続的に見直され、適宜変更が加えられます。最近では2016年に改定版が公表されました。
多くのペットフードメーカーではAAFCOの基準を参考に開発がおこなわれています。
また、日本の「総合栄養食」も、これを参考にして定められています。
したがって、AAFCOの栄養基準を満たしたペットフードならば、「そのフードと水をあたえることで健康を維持できる」と考えてよいでしょう。
AAFCOの基準を満たせば安心?
AAFCOの基準を満たしているフードであれば、栄養面に関しては問題はないと考えられます。
ですが、これもはあくまでも「犬猫が健康に生きていくうえで必要な栄養基準をクリアしている(そのフードと水だけで健康を維持できる)というだけ」なのです。
AAFCOによって定められているのは、あくまでもペットフードの栄養価の基準であって、使われる食材の安全性に関する基準はありません。
ある学生が革靴など食品以外の素材を使用してAAFCOの栄養基準を満たしたという逸話をご存知の方も多いと思います。乱暴に言えば、ゴミを原料にAAFCOの基準を満たしたペットフードを作ることも可能だということです。
ナトリウム(おもに塩分です)などは下限値はあるものの上限値は決められていないため、極端に言えば塩分が10%を超えていても問題にはならないのです。
また、食物繊維など一部の栄養成分については、基準の記載さえありません。
このように、AAFCOの基準には落とし穴もあります。ですから、あくまでもひとつの基準として参考にするのがよいでしょう。
AAFCOは基準を設定しているだけの機関
AAFCOはあくまでもペットフードの栄養基準とパッケージのラベルの表示基準を決めているだけの機関です。そのため、栄養基準の検査や認定、認証、警告をあたえることはありません。AAFCOの基準を満たしていないとしても、とくに罰則があるわけでもないのです。
ですから当然、「AAFCO認定」「AAFCO合格」「AAFCO認証」といった表示もできませんし、そもそもそういったペットフードは存在しません。もし、そのように表示されたフードを見かけたら避けたほうが安全でしょう。
「FEDIAF」とは?「AAFCO」との違いは?
冒頭でヨーロッパにはAAFCOと同様の機関として「FIDIAF(欧州ペットフード工業連合会)」があることをお話しました。このFIDIAFとはどんな機関なのでしょうか?
FIDIAFは、ペットフードの製造に関する基準を定めている機関です。ヨーロッパで製造されるペットフードの栄養基準を2008年に制定しています。そのため、現在ヨーロッパではFIDIAFを基準に研究や開発、製造をしているメーカーが数多く存在しています。
FIDIAFは栄養基準のほかにも、ペットフードの製造工場の認定もおこなっています。
栄養基準や添加物の使用量の基準、パッケージに記載される内容の基準などもAAFCOとは違いがあります。
そのため、FIDIAFの基準は満たしているけれど、AAFCOの基準は満たしていないということもありえます(もちろんその逆もあります)。ただ、どちらの栄養基準も根拠に基づいたものですから、安心してあたえることができます。
まとめ
現在、事実上の世界標準となっているAAFCOの基準は、もともとはアメリカのペットフードの基準です。
AAFCOの基準を満たしていれば、「そのペットフードと水をあたえるだけで健康を維持できる」とされています。
そこから日本をはじめとするさまざまな国や地域の基準として採用されることになり、結果的に世界の基準と見なされるようになったのです。
ただし、AAFCOの基準にも落とし穴はいくつもあります。「AAFCOの基準を満たしているから安心だ」とは言いきれないのです。
だからこそ、AAFCOの基準を盲信しないように気をつけなくてはなりません。愛犬、愛猫の健康を守るためにも正しい知識を身に着けることが、安心してあたえられるフードを選ぶうえでとても大切なのです。
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