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犬の正常な目やにと病気が目やにの見分け方とは?

獣医師
西岡優子
[記事公開日]  [最終更新日]
犬の生理現象で見られる正常な目やにと、病気が原因の目やにの違いについて解説しています。さらに、それぞれの目やにの特徴や、原因となる病気について紹介もしていますので、是非参考にしてください。
[ 目次 ]
犬の正常な目やにと病気が目やにの見分け方とは?
目やには人でも発生する生理現象なので、愛犬に目やにが見られても軽く考えがちですが、病気が原因で目やにが出ることもあるため注意が必要です。

今回は、生理現象で見られる正常な目やにと、病気が原因の目やにの違い、それぞれの目やにの特徴、原因となる病気について解説します。

正常な目やにとは 

目も体の他の部分と同じように代謝をして、古くなった細胞を新しい細胞に入れ替えています。

目やには皮膚でいう垢のようなもので、古くなり剥がれ落ちた細胞と、目に付着したホコリやゴミが涙に混じってできたものです。

このように、古くなった目の細胞やホコリやゴミなどを体の外に出すという生理現象による目やには正常で、健康な犬でよく見られるものなので心配はありません。

犬の正常な目やにと病気が目やにの見分け方とは?

正常な目やにの特徴

犬も人と同じように寝起きに目やにが排出されることが多く、朝起きた時に犬の目頭や目尻に少量付いている目やには、生理現象による正常なものなので問題はないです。

また、正常な目やには古くなったまぶたの細胞と目に入ったゴミやホコリが主成分なので、黒色や茶色でカラカラに乾いた見た目をしています。

白色やグレーでゼリー状の目やにも、犬が生活する上で自然にできる正常な目やになので気にする必要はありません。

さらに、正常な目やにであれば、1回に出る量は少量で、出る頻度も1日に1~2回拭く程度です。

犬の正常な目やにと病気が目やにの見分け方とは?

病気が原因の目やにとは

目やにの量が多かったり、色や臭いなど目やにの状態がいつもと違う場合には、重大な病気が隠れていることがあるため注意しましょう。

目やにの原因で考えられる病気は、結膜炎や角膜炎、ドライアイなどの目の病気が主ですが、まれに鼻や歯の病気が原因となるケースもあります。

また、生理現象による正常な目やにでも量がいつもより多い場合には、そのままにしておくと細菌感染などを起こし、目の病気を引き起こすことがあるので注意が必要です。

さらに、病気が原因で目やにが出ているときには、涙の量や瞬きの回数が増えたり、目の違和感が気になって目の周りを床などに擦りつけたり、目を閉じたままじっとするという
日頃の行動と違う様子が見られることもあり
ます。

犬の正常な目やにと病気が目やにの見分け方とは?

病気の可能性がある目やにの特徴

人では健康でも黄色い目やにが出ることがありますが、犬にとっては濃い黄色の目やにや緑色がかった目やには、病気の可能性があるので注意が必要です。

目やには細菌感染が起こると、変色して濃い黄色や緑色になったり、膿のようなベタベタやドロドロの状態になったり、臭いニオイを発することがあります。

また、目やにが出る頻度も1日に日に3回以上と高く、1回に出る量も多量です。

さらに、目やにに加え、白目の部分が赤く充血して炎症が起きている場合や、目を擦ったり、まぶしそうに閉じるような動作が頻繁に見られる場合には病気の可能性があります。

これらの症状が見られた場合には、早目に動物病院を受診しましょう。

犬の正常な目やにと病気が目やにの見分け方とは?

目やにの原因となる病気

ここで、目やにの原因となる病気をいくつかみていきましょう。

①アレルギー
花粉やホコリなど環境中の物質や動物のフケは、犬のアレルギーの原因の一つと言われています。

アレルギーによる目の症状としては、強い目の痒みや充血、涙の量が増えるなどです。

さらにアレルギー症状が長引くと、犬が強い痒みから目を擦りすぎて、目の周りが赤くなったり、脱毛するなど皮膚炎を起こす場合があります。

そして、アレルギーによる目の痒みと、目の周りの皮膚の痒みから、犬がさらに目を擦ることで、結膜炎を引き起こし、目やにや流涙などの症状が現れるのです。

愛犬に目を痒がる様子がみられたら、目の周りに皮膚炎や結膜炎などを起こす前に動物病院を受診することをオススメします。

②角膜炎・角膜潰瘍
角膜とは、黒目部分の表面を覆っている透明な膜状の組織です。角膜は黒目を外からの刺激、細菌やウイルスなどの微生物から守る役割をしています。

角膜に傷が付き、その部分から微生物が侵入して、角膜に炎症が起こったものが角膜炎です。さらに、角膜炎が進行し、角膜の内部で炎症が起きた状態を角膜潰瘍といいます。

角膜炎の原因は細菌やウイルスなどの感染やドライアイ、逆さまつ毛、免疫の異常など様々です。

角膜炎では目やにの他、結膜の充血、流涙、痛みで目が開かないといった症状が見られます。

また、角膜炎が進行して角膜潰瘍になると、目をまぶしそうに閉じるような動作が頻繁に見られたり、白目が充血で赤く、黒目は白く濁ったような色になるのが特徴です。

特に、目が大きく飛び出たシーズーやチワワ、パグなどの犬種で角膜炎や角膜潰瘍はよく見られます。

③結膜炎
結膜は、白目の部分の表面とまぶたの裏側の膜組織です。

この結膜に起こる炎症のことを結膜炎といい、充血や目やに、痒み、まぶたの腫れなどの症状がみられます。

結膜炎には感染性と非感染性の2種類がありますが、犬の場合はアレルギーや異物からの刺激によって引き起こされる非感染性のものがほとんどです。

④ドライアイ
角膜が乾燥している状態のことをドライアイいいます。

ドライアイは涙腺から分泌される涙の量の不足や、目の形状の不具合で涙が角膜に十分に行き渡らないことにより起こるのです。

ドライアイの原因となる病気は、免疫細胞の異常な働きによる涙腺の破壊、ウイルス性疾患、アレルギーなど様々なものがあります。

症状は、黄色や緑色のネバネバした目やに、結膜の充血などです。

⑤まつ毛の生え方の異常
まつ毛の生える向きが本来と逆になっている「逆さまつ毛」や、本来生えないような場所にまつ毛が生えている「異所性睫毛(いしょせいしょうもう)」など、まつ毛の生え方の異常によっても目やにが生じます。

これは、まつ毛がまぶたの内側に入り込んで、まつ毛が眼球を刺激するからです。

また、目やにの他、結膜の充血、流涙、痛みで目が開かないなどの症状が見られます。

⑧ 眼瞼内反症・外反症
まぶたが内側にめくれている状態を「眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)」、まぶたが外側にめくれている状態を「眼瞼外反症(がんけんがいはんしょう)」といいます。

これらは先天性(生まれながら)のものが多いですが、重度の結膜炎や外傷などによるまぶたの変形、目の周りの筋肉や神経の異常などが原因で起こることもあります。

眼瞼内反症、眼瞼外反症ともに、角膜や結膜が刺激を受けることにより、痛みや痒みが生じ、目やにだけでなく涙の量も多くなります。

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