犬が見えている世界は私たちと違う?犬の色の見え方の違いを知ろう!
「空が綺麗だね」「この色似合うね」など話しかけたりするときがあると思いますが、そもそも愛犬も同じように見えているのでしょうか?
どのような世界を見ているのか気になりませんか?
私たちとの見えかたの違いや、犬が認識しやすい色、犬が好きな色などについてご紹介します。
犬の嗅覚が優れていることは有名ですが、走る姿やしぐさを見て「犬は視力も優れている」と思っている人も多いのではないでしょうか。
実は、犬は人間に比べると視力が弱い生き物で、視力は「約0,1~0,3程度」しかありません。
また、犬と私たちとでは視力だけでなく「色のみえかた」にも違いがあります。
犬の目と人間の目にどんな差があるのかを知って、愛犬と一緒に見る世界をもっと楽しみましょう。
■犬は私たちと同じ色をみているの?
視野の広さや動体視力、暗いところの視力などは人間よりも優れていますが、犬が色を識別する能力は低いようです。
昔は「犬は色を見わけられない」「犬の世界は白黒のモノトーンだ」と思われていました。
しかし、研究を重ねることで「犬もいくつかの色を区別することができている」ということがわかってきました。
カルフォルニア大学での犬の色の見えかたに関する実験では、
・赤→暗いグレー
・赤に近い色→グレー
・緑→黄色っぽいグレー
・黄→黄色っぽい色
・オレンジ→黄色っぽいグレー
・青→青っぽい色
・紫→青っぽい色
に見えているという結果が発表されています。
犬は私たちとは大きく異なった色を見ているようですね。
私たちは色とりどりな花を見ると癒されますが、花びらの赤色と茎や葉の緑色のコントラストが綺麗なチューリップは、犬の目では赤と緑がグレーに見えています。
赤や黄色、ピンクやオレンジなどの鮮やかなチューリップ畑は、全体的に黄色くくすんでいるように見えているのです。
「犬と花」の写真はとっても綺麗に感じている私たちですが、犬たちには残念ながら伝わっていないようです。
■見えている色が少ないのはなぜ?
目の網膜には、錐状体(すいじょうたい)と呼ばれる、色の識別に関わっている細胞があります。
犬の目は、この錐状体の数が私たちに比べて少ないようです。
人間は「赤」「緑」「青」にそれぞれよく反応する3種類の錐状体を持ち、それぞれの色が発するの波長の違いを認識して色を判断しています。
それに対して犬は「青」と「黄」に反応する2種類の錐状体しかなく、「赤」を識別する細胞がありません。
そのため、犬は青色と黄色、その2色が作り出す中間色しか認識することができません。
■犬は近視?遠視?正視?
犬は「近視である」「遠視である」と、どちらもいわれていますが実際はどちらなのでしょうか?
アメリカのある大学の獣医学部で、240頭の犬を集めて研究をおこないました。
ほとんどの犬は、近視でもなく遠視でもない「正視」という結果がでたそうです。
しかし、犬種によって差もあり、ジャーマン・シェパードやロット・ワイヤーでは近視が多く、オーストラリアン・シェパードやアラスカン・マラミュートでは遠視が多いという結果となりました。
また、別の研究機関では違う結果がでたようなので「犬種によって視力の違いはある」のは確かなようですが、近視や遠視、正視をはっきりと分けることは現段階では難しそうです。
最近は、新種やさまざまなmix犬たちも登場していますので、遺伝子や環境の変化によって「近視・遠視・正視」の傾向も変わってくるかもしれませんね。
■犬の目はココが優れている!
≪動体視力≫
視力を測るときって静止画ですよよね。
止まっているものを見る力は人間より劣っていますが、犬は動いているものに対しての視力がとても優れています。
もともと狩りをして生活をしていた動物なので、動体視力がとても発達しており、1km近く離れていても動く標的を見わけられるといわれています。
≪視野が広い≫
私たち人間の視野が200度くらいなのに対して、犬たちは250度~270度くらいの広い視野をもっています。
前方向だけでなく、私たちの死角になりがちな斜め後ろ方向も、直接目で見ることができるのです。
また、視野は頭の形や目の位置が大きく関係しています。
ラブラドール・レトリーバーのような中頭種の犬では、視野は240度~250度といわれています。
ボルゾイなどのマズルの長い長頭種の犬では視野はさらに広くなりますし、お鼻がつぶれ気味のパグやフレンチ・ブルドッグ、チワワのような短頭種は少し視野が狭くなります。
目が前に向いている犬種ほど、両眼視できる範囲が増えて、人間に近い視野をもっているといえますね。
■結局、犬が好きな色って何色?
犬は見えている色の種類が私たちより少ないけれど、色の区別はできています。
「赤は見えてないんでしょ?」と思いますよね?
残念ながら私たちが見ている赤とは同じではありませんが、「赤・緑・青」の色も違う色として認識できているようです。
愛犬が「この色が好き」と自発的に教えてくれることはないと思いますが「このオモチャを気に入っているな」と思うときはありませんか?
単純に匂いがついているとか、形状が遊びやすいなどの違いがある場合もありますが、犬たちの目でもハッキリと認識視野やすい色は「好む色」といえます。
犬のために何かを選ぶとき、私たち目線で色を選ぶことがほとんどだと思いますが、愛犬のオモチャやトレーニング器具などを購入する際はぜひ参考にしてみてください。
トレーニングのときは「認識しやすい色」に変えてあげるだけで、成功率が上がるかもしれませんよ。
具体的には他のものと区別しやすい、青や紫などをお勧めします。
反対に、犬の寝具やくつろぐ場所などでは、色の薄めな刺激の少ない色を選ぶと落ち着きやすいですよね。
用途に適した色を選択してあげましょう。
■愛犬に色鮮やかな暮らしを
犬たちの視覚は、私たち人間に比べて鮮やかな世界ではありません。
飼い主さんの表情や雰囲気、声のトーンや強弱などから情報をしっかりと読みとることができるので、視力が弱くても犬たちにとってはあまり問題ではないようです。
私たちが「おいで~」とニコニコしながら呼んでいても、実は全然見えていなかったりするのかもしれませんが、どんなときでも私たちのもとに走ってくる健気な姿は愛おしいですよね。
しかし、私たちが見ている世界とは同じではない、ということは覚えておきましよう。
色の見えかたの違いや、犬が理解しやすい色などに気を配ってあげて「こういう目的だから、この色のほうが良いかな?」など、ぜひカラー選択の参考にしてくださいね。
犬たちは色鮮やかな世界が見えていなくても、飼い主さんのことは絶対に見えています。そして、愛犬に色鮮やかな暮らしをさせてあげられるのは、飼い主さんだけです。
★飼い主の皆さんと大切なワンちゃんが、1日でも1分でも、長く一緒に過ごせますように★
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