犬と猫の低血糖に注意!!
急に遊びだしたと思ったらすぐに眠くなったり、本当に忙しい生き物です。
しかし体調が悪くなってしまう時もあります。突然元気がなくなったり吐いたり、震えたり、、、。どうすれば!?
もしかしたらその症状低血糖が原因かもしれません!
そこで今回は子犬や子猫で起こりがちな“低血糖”について解説していきたいと思います。
字を読めばなんとなく体の中の状態はわかると思いますが、この“低血糖”がどのような症状がでて、どのような条件が揃えばなってしまうのかは意外と把握されていない方も多いかと思います。
実は子猫、子犬においては“低血糖”は命の危険にもさらされる状態で、症状としては急に動かなくなったり、震えたり、ひどい場合だと神経的な発作を示すこともあります。この状態を知らないでいると大変なことになる事も容易に想像できると思います。また子犬、子猫ではなくても何かしらの基礎疾患を抱えている症例でも起こりえます。
では“低血糖”とは一体どういったものなのでしょうか。
低血糖の条件、症状
血糖値は糖を消費し体に吸収するインスリンや糖を上昇させるグルカゴンといったホルモンのバランスにより安定しています。
これらの働きにより動物はエネルギーを獲得することができ普段の生活で使用しています。
低血糖は何かしらの原因により、血中の血糖値が60mg/dl以下になることを言います。
多くの場合は40〜50mg/dl以下になると症状が現れ、意識障害や痙攣など主に神経症状を示すこともあり、嘔吐や下痢も食欲不振などもみられる事もあります。
脳における糖の消費量は全体の約20%を占めるとも言われるため低血糖になると神経症状が多くみられます。
低血糖の症状が長く続いてしまうと血糖値が上昇したあとも後遺症として脳障害が残ることもあり、早急に手を打たないと今後の生活にも影響を及ぼします。
起こりうる原因、基礎疾患
前述した通り、何かしらの原因で低血糖になります。以下が主に挙げられる原因になります。
1、若齢の小型犬
幼少の時には生活に維持するエネルギーと自分の成長に使うエネルギーの2つのエネルギー消費が存在します。
嘔吐や下痢が続いて食欲が落ちたりするとすぐに血糖値が下がっていしまいます。
2、糖尿病に対するインスリンの過剰摂取
糖尿病とは体内でのインスリンの分泌が減るもしくは使われずに血糖値が上昇してしまう病態のことを指します(詳しくは糖尿病の記事で)。食事量が充分でない時にインスリン製剤を投与してしまうと必要以上に血中の糖分が使われてしまい低血糖に陷ります。
3,キシリトールの誤食
人工甘味料としてよく使用されているキシリトールですが、動物の場合はキシリトールによっても低血糖になります。キシリトールを摂取してしまうことで体の中で糖が吸収されたと勘違いされてしまい過剰にインスリンが分泌され、糖を分解してしまい低血糖になります。
4、腫瘍などによる糖の消費
腫瘍、特に悪性の場合は腫瘍自体が大きくなったり成長するためにたくさんの糖を消費したり、中にはインスリンと類似した物質を分泌するものがあります。
代表的なものとしてインスリノーマは腫瘍の影響で過剰にインスリンを分泌してしまうことによって血糖値を異常に下げてしまいます。
5,アジソン病
あまり聞き馴染みがないこの病気は副腎皮質機能低下症といわれ、アドレナリンやコルチコイドといったホルモンなどの分泌を低下させてしまいます。アドレナリンやコルチコイドも体内の糖を上昇させる役割を持つため低血糖へとなる可能性があります。
低血糖の対処法
では低血糖かもしれないと思った時にどういった対処法があるのでしょうか。
1、糖分を摂取させる。
低血糖と思われる症状がみられたら、まずガムシロップやコーンシロップなどをなめさせるのも一つです。
しかし意識がない状態だと誤嚥すると危ないので慎重に。口腔内に塗るだけでも効果があると言われています。
2,病院に連れていく
低血糖になってしまう場合は基礎疾患を患っている可能性があるので上記の処置をしつつ急いで動物病院へ向かいましょう。予め各時間帯にやっている動物病院などをチェックしておくことをおすすめします。
3,病院での処置、原因の究明
若齢での低血糖であれば点滴や静脈内への糖の補給で割とすぐに回復しますが、その他に病気が隠れている場合はしっかりと検査してもらい原因疾患の究明、治療を行ってください。
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