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犬のケンネルコフについて、原因と対策法

獣医師
高橋 渉
[記事公開日]  [最終更新日]
飼い始めの子犬が咳をし始めた。それは、ケンネルコフかもしれません。ケンネルコフの原因と対策法について詳しく解説いたします
[ 目次 ]
犬のケンネルコフについて、原因と対策法
飼い始めたワンちゃんが咳をし始めた。それは、もしかするとケンネルコフかもしれません。ケンネルコフは、悪化すると肺炎などを引き起こす危ない感染症です。ケンネルコフについて学んで、早期発見早期治療に繋げていきましょう。

犬のケンネルコフとは

『ケンネル』とは犬舎のことで、『コフ』とは咳のことです。合わせて『犬舎の咳』のことで、一般的に子犬ちゃんたちが密集するブリーダーさんやペットショップなどで集団発生する咳を主な症状とする呼吸器感染症です。ケンネルコフは、別名で犬伝染性気管気管支炎と言われます。
ケンネルコフは、特定のウイルスの感染症ではなく、パラインフルエンザ、アデノウイルス、ボルデテラなどの多くのウイルスや細菌が関わっており、時に細菌感染などにより重篤化する場合もあります。

ケンネルコフになりやすいワンちゃんの特徴

ケンネルコフは、1歳未満の若いワンちゃんで多く発生します。この病気は、感染症であり発症しているワンちゃんからの鼻汁などからの飛沫や直接的な接触によって他の子たちに移っていきます。そのため、免疫がまだ不十分な子犬ちゃんが密集しているペットショップやブリーダー施設で発生しやすいです。ウイルスが移っても症状はすぐには起きず、ケンネルコフを起こすウイルスの種類にもよりますが数日の潜伏感染という症状が見えない期間があります。そのため、感染に気づかれずウイルスを持ったまま自宅に迎えられ、そこで発症することもあります。そのため、飼い始めて数日でワンちゃんが咳をし始めて気付くケースがあります。

ケンネルコフの症状

ケンネルコフの症状は、もっとも多いのが咳です。特に息強く吐くような乾いた咳をすることが多いです。また、その他にも鼻水やくしゃみなどのような人の風邪に似たような症状が見られます。悪化すると発熱、食欲不振、元気がなくなるなどの症状が見られ、咳も痰を吐くような強い湿った咳をするようになります。そして、免疫が弱っていたり、治療が受けられなかったりした場合には肺炎など重篤化してしまい、死亡する可能性もあります

ケンネルコフの診断

動物病院では、ケンネルコフの診断をする際には主に問診と身体検査を行い、そして、必要に応じてレントゲンや血液検査などを検討します。ワンちゃんの咳は、ご家族にはそれが咳と判断しづらいときがあります。そのため、もしご自宅で疑わしい症状が見られたら動画などを撮って獣医師に見せてみると症状が伝わりやすいかもしれません。獣医師は、ご家族のお話を伺って、身体検査を行います。そこで呼吸状態や発熱の有無など全身の状態を確認します。そして、その子の年齢や生活環境、症状などからケンネルコフが疑われる場合は、その子の状態や必要に応じてレントゲンや血液検査などを勧める場合があります。

ケンネルコフの治療

ケンネルコフの治療は、その子の状態や症状の重篤度によっていくつかの内科治療が選択されます。
① 抗生剤…ケンネルコフは、ウイルスや細菌の複合感染によって起こるため、細菌に対して抗生剤が効果を示す場合があります。しかし、全    
ての子で処方されるわけではありません。
② 鎮咳薬…咳症状の重篤度によって検討されます。細菌感染を伴う湿性の咳の場合などには用いられないケースがあるため獣医師によって必
要に応じて処方されます。
③ ネブライゼーション(吸入治療)…ネブライザーという機械を用いて霧状にした抗生剤や気管支拡張剤などの薬剤を吸わせることで肺に直         
接薬を届けることができる治療法です。この治療は、多くの場合はワンちゃんをお預かりして1日1~数回行います。
④ 安静…活発に動くことで咳症状が悪化することがあります。治療中は可能な限り安静を保つようにしてあげてください。

ケンネルコフの予防について

ケンネルコフは、感染症のため予防することで発症を避けることが大切になります。ケンネルコフの予防としては、ワクチンの接種や環境の整備などに注意します。
① 混合ワクチンの接種
ケンネルコフに関わる一部のウイルスについては、混合ワクチンを接種することで予防することができます。そのため、適切な時期に動物病院で定期的に予防することが大切です。特に子犬の頃の予防接種は重要で、複数回の接種を行い、しっかりとウイルスに対する免疫を獲得できるようにしましょう。しかし、すでに感染が成立している場合や接種していてもすべての感染に関わるウイルスを予防することはできないため、接種していても注意が必要です。
② 発生しやすい環境を避ける
ケンネルコフは、飛沫感染や接触感染によって起こります。そのため、感染が生じやすい環境である密集、密接、密閉な環境には、子犬を連れていくことを避けるべきでしょう。例えば、ペットホテルやトリミングなどにワクチンを接種がすべて完了する前に連れていくことは、最低限に留めるべきです。
③ ストレスを避ける
ワンちゃんをお家に迎えると多くのご家庭でどうしてもいろいろと構ってあげたくなってしまいます。そのお気持ちはよくわかりますが、ご自宅に迎えてしばらくの間は、環境に慣れさせるためにもいきなり長時間の接触は避け、じっくりと時間をかけて環境に慣らしてあげるようにしましょう。そして、日々その子の食欲や活動性、鼻水やくしゃみが出てないか、咳をしてないか、呼吸状態は悪くないかなどを注意深く見守ってあげるようにしてあげてください。

まとめ

ケンネルコフは、幼いワンちゃんによく起こる病気です。ワンちゃんを飼い始めて、何か疑問やおかしいなと感じることがあれば気軽に動物病院にご来院ください。

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