猫が咳をしているときに考えられる病気と予防法について
猫のくしゃみは良く知っているという方は多いのですが、
咳を見たことがある方は少ないかもしれません。
しかし猫の病気の中には咳を主症状とするものもたくさんあるため、
咳とはどのようなものか、理解しておくことが大切です。
今回はそんな猫の咳について、病気とともにご説明していこうと思います。
猫の咳ってどんなもの?くしゃみとの違い
では実際に、猫の咳とはどのように起こるのでしょうか?
猫の咳は、後述しますが様々な病気が原因で引き起こされますが、それらの病気は主に喉の部分や肺の疾患で起こります。
そのため猫が咳をするときには、喉の部分を伸ばして、前に鼻を突きだすような仕草を見せます。
そして咳には連続性があることが多く、1回ではなく数回連続して起こることがあります。
そのため咳をし始めてから落ち着くまでに少し時間がかかることもあるでしょう。
一方、猫のくしゃみは主に鼻の病気が関連することが多いため人間と同様、頭をぶるぶる振ってくしゃみをします。
くしゃみと同時に鼻水が出ることもあり、連続で出ることもあれば1回だけのこともあります。
またくしゃみの際は口を閉じてすることが多く、咳は口を開けてすることが多いので、それで判断することも可能です。
とはいえ、猫のくしゃみと咳はよく似ていて、実際に見ているとどちらか判断が付かないことも多いでしょう。動物病院に連れて行こうと思っても、症状をなかなか口で説明するのは難しいものです。
そのため、猫にくしゃみか咳かわからない症状が出た時には、携帯電話で動画を撮っておくことをお勧めします。
診察の際に獣医に動画を見せることによって、咳かくしゃみか判断することが出来るため、症状に合った検査や治療に繋げることが出来るでしょう。
猫の咳を引き起こす病気『猫喘息』
猫の咳を引き起こす病気は様々なものがありますが、中でも多く咳を引き起こすのがこの猫喘息と呼ばれる病気です。
猫喘息とは、何らかの原因で気管支に炎症が起こり、咳や呼吸困難を引き起こします。
これらの原因となるものはアレルギー性のものから喉の異物など、多岐にわたります。
猫喘息についてはまだまだ分かっていない部分も多く、年齢や性別、猫種関係なく引き起こされるといわれており、全猫種に注意が必要です。
猫喘息の主な症状は、咳や呼吸数の増加です。一日に何度も咳を繰り返したり、呼吸がいつもより速い状態が続いている場合などは要注意です。
咳の後にはくちゃくちゃと口を気にするそぶりを見せることもあります。
また、咳を繰り返すことによってチアノーゼという状態になることもあり、
その場合は呼吸困難を引き起こす可能性があるので直ちに治療を開始しなければなりません。
猫喘息は早期に治療を開始すれば、比較的症状を落ち着かせて生活することが出来ます。
しかし治療が遅れてしまうと回復が難しくなるばかりか、命にかかわる場合もあるので、早期の受診、治療が大事です。
治療には主に気管支拡張剤や炎症止めを投薬もしくは点滴します。
呼吸状態が著しく悪い場合には酸素吸入処置を行い、全身状態を改善してから細かい検査に入ることが多いでしょう。
呼吸困難を引き起こしている場合の多くは入院治療になり、薬の反応を見ながら治療していきます。
猫喘息を引き起こさないためには、アレルギーの原因となりえる物質を飼育環境から遠ざけておくことが大切です。
例として
・室内でタバコを吸わない
・空気清浄機を設置する
・定期的に掃除をして、埃の飛散を抑える
・整髪料のスプレーなどの使用は猫の近くではしない
などが挙げられます。
猫の咳を引き起こす病気『感染症』
いわゆる猫風邪といわれる病気で、カリシウイルス・ヘルペスウイルス・クラミジアなどに感染して引き起こされる病気です。
これらのウイルスは潜伏することがあります。猫の免疫が落ちてきたときに発症するのです。一見健康そうに見える猫でも、ウイルスに感染している場合があるため注意が必要です。とりわけ野良猫や外出する飼い猫などにウイルス保有率が高い傾向にあります。
免疫力の低下した老猫や、まだ免疫がしっかり出来ていない子猫などが感染した場合重症化リスクが高まります。
ウイルスに感染し発症すると咳だけでなく、鼻や口、目などにも症状が見られます。
初期には鼻水がだらだら出ていたり、目やにが多くて目が開かないなどの症状が現れることが多いです。
だんだんと進行していくと結膜炎や口内炎、そして発熱などの全身症状が発症し、食欲の低下、脱水などを引き起こします。
重症になると呼吸困難を引き起こし、命を落とすこともある怖い病気です。
治療は主に対症療法となります。
点滴をし、抗生物質や抗炎症剤、抗ウイルス剤などを投与していきます。
鼻が詰まったり口内炎によって食欲がない場合には栄養剤の点滴や、ネブライザーなどの治療も行われます。
また点眼や点鼻など、外からの治療も並行して行うことが多いでしょう。
治療は他の猫に感染する危険性があるため、多くの病院では隔離室やICUでの治療となります。
これらを引き起こすウイルスのうち、カリシウイルスとヘルペスウイルスにおいてはワクチン接種をしておくことで発症のリスクが低く抑えられます。
そのため適度な時期になったら、獣医と相談の上しっかりとワクチン接種をすることが大事です。
室内飼育されている猫でも、人間がウイルスを持ち込んで発症してしまうこともあるためしっかりと対策してあげましょう。
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