猫は本当に、よく寝る動物なのか?
時間や深さなど、猫の睡眠にもいろんなスタイルがあるのか、ないのか。
人間と一緒に暮らしているのであれば、野生の頃の睡眠行動から、何かしらの変化があってもおかしくありませんよね。
猫といえば、気持ち良さそうに寝ている印象が強い生き物。
外へ散歩に出かけるのが日課になる犬とは対照的に、猫は1日を通して、自由気ままなインドア生活を送ります。
昼間の猫といえば、基本はタワーの上やフローリング、毛布などで、のんびりと丸くなっている姿が思い浮かびますが、果たしてそのすべてが「睡眠時間」なのかと考えると、必ずしも、そうではないような気がするのです。
一般的とされる猫の睡眠時間
猫(ネコ)という名前の由来については「寝る子」だから、というのが有力な説だそうです。
たしかに猫といえば、何かにつけてよく寝ている動物というイメージが持たれますが、実際には1日の中で、どれだけの時間を睡眠に費やしているのでしょうか。
野生にいた頃の猫には、狩りの時間に備えて体をじっくり休ませる習慣があり、体内にエネルギーを十分蓄える目的で、睡眠時間をたっぷり取っていたといいます。
体力温存のための長時間睡眠は、猫のような肉食動物に共通して見られる行動ともいわれており、具体的には成猫で1日平均14~17時間。年齢や健康状態などによっては、それ以上長く眠る個体もあるようです。
ちなみに、犬も肉食動物ですから、やはり睡眠時間は長めに取るようです。
成犬で1日12~15時間あたりが平均のようですが、犬の場合は年齢だけでなく、犬種によっての違いもあるため、個体によってバラつきは大きくなってきます。
睡眠の質は「時間×深さ」といわれていますが、
猫に関しては時間に重きを置く、という考えになるでしょう。
睡眠にも浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)がありますが、猫については、比較的浅い眠りの時間帯が多いとされています。
いつ外敵に襲われるか分からない自然の中で、ぐっすり眠る時間が長くなっては、命がいくつあっても足りないことになってしまいますから、無理もありませんね。
猫の睡眠にも変化あり。「へそ天」の時はぐっすり?
猫がどのような睡眠を取る生き物なのかについての、一般論を書いた上で申し上げますが、
猫も今では、家庭で暮らす動物として生きており、狩りをする必要もなく、身の危険を感じる必要もなくなりました。ごはんの時間など、人間の生活に猫たちが合わせてくれる部分も多く、人間との共生という新しい要素がもたらす影響は、少なくない気がします。
各家庭の環境にもよりますが、一緒に暮らす人間によるコントロールが加わることで、猫たちの1日の生活リズムにも、それぞれの違いや変化が起きているはず。
そうなると、「猫は○時間ぐらい寝る」といった画一的な捉え方についても、ぼちぼち、その型を外して考える必要が出てきたのではないか、と思うのです。
たとえば、完全に警戒心を解いて緊張をゆるめた猫が、仰向けで睡眠を取ることがあります。
おへそを天井に向ける姿勢であることから「へそ天」と呼ばれます。SNSでもよく投稿されている寝相なので、ご存知の方も多いでしょう。
暑い時期に多く見られるへそ天ですが、安心感がきわめて高く無防備な姿勢ゆえに、眠りについても深い場合が多いと想像できます。
「寝たフリ」や「目を開けてぼんやり」もある
成猫の睡眠は1日平均14~17時間、という数字の話に戻りますが、
この見解については私自身、少々疑問を感じています。
ポイントは、何をもって「睡眠」とするのか。
猫が丸くなっている時や、じっとしている時は、遠めから見て「寝ているもの」と思いがちですが、実は単に動かずにいるだけで、寝ているとは言い難い時間も少なくありません。
ぼんやりしているように見える時間も含めて睡眠とするのであれば、1日の大半という解釈に収まるのでしょうが、寝ているというより、くつろぐ、まどろむという範囲にとどまっていることも、意外と多いのです。
人間ならテレビをボーッと見ているとか、無意識にスマホを触っているとかの範囲になるでしょうか。
いわゆる「やることがないから」の行動ですが、猫はやることがなければ、じっとしているだけの話なので、これも睡眠時間に含むというのは、ちょっと違うような気もします。
むしろ、時には飼い主が気づかないところでパッチリと目を開け、家の中や飼い主の背中をじっと見ていることもあります。
これは我々人間が寝ている夜中も同じで、浅い眠りがベースとなる猫の場合には、動きはなくても、頭の中ははっきりしている「寝たフリ」の時間というのは(人間が気づかないだけで)結構な割合を占めているのではないかと、私は思っています。
ステイホームで、猫の眠りを眺めてみよう
筆者は現在、愛猫たち3頭が同じ部屋でくつろいでいる中での在宅勤務を送っています。
静かな環境で仕事をしていても、たまにこっそり振り向いて猫たちの様子を伺っていると、寝言を発するほどにぐっすり眠る猫もいれば、私のことが気になって、チラチラと視線を送ってくる猫もいます。
猫にもそれぞれの個体があるということは、睡眠にもそれぞれの個性があるということ。
もしかしたら、とんでもなく熟睡する猫とか、逆にショートスリーパーでも活動できる猫だって、いるかもしれません。
平日はテレワーク、休日もおウチで過ごすことが多い日常では、眠っている(あるいは寝ているフリの)猫の様子を眺める時間も長くなるのではないでしょうか。
ウチの猫は、家の中でどうやって寝ているのだろう?
睡眠というアプローチから、愛猫に対する好奇心を探ってみるのも、いいかもしれません。
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