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猫のヘルペスウイルス感染症

獣医師
黒田 美津穂
[記事公開日]  [最終更新日]
うちの猫、鼻水が出て、目がパンパンにはれていて、ゴハンも食べないし、熱も高くて元気がないの。ヘルペスウイルスのひどい感染症ですね。猫カゼと呼ばれている病気です。ヘルペスウイルスはいったいどこから来るのでしょうか。予防はできるのでしょうか。少しずつお話していきましょう。
[ 目次 ]
猫のヘルペスウイルス感染症
猫のヘルペスウイルス感染症では、猫のヘルペスウイルス1型が病原体となり、さまざまな症状を引き起こします。症状が起こっている猫の涙、目やに、鼻汁などの分泌物に多く含まれます。また治った猫からもウイルスを排出して猫たちに広げてしまうこともあります。ヘルペスウイルス感染症はワクチンで防ぐことができます。ワクチンを受けてしっかり予防しましょう。

症状

猫ヘルペスウイルスにかかると3~4日間で、急に元気、食欲がなくなり、熱も上がり40,0℃出ることもあります。鼻水が出て、くしゃみも激しくなります。目も涙目になって、結膜炎がおこります。ひどいときには結膜がくっついて目が開けられなくなります。歯肉炎がおこり、よだれがでます。症状が始まってから3〜4日で一番病気は激しくなり、通常は1週間くらいで回復します。子猫では食餌ができずに脱水や衰弱が激しくなります。場合によっては生命に危険もあります。また抵抗力がなくなり、細菌感染が一緒におこると、症状が激しくなったり病気が長引くこともあります。

原因

猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)が病原体となります。感染猫のくしゃみ、分泌液などから感染します。さらに症状が回復しても猫の三叉神経の神経節に潜伏し、猫の抵抗力が弱まると再発します。一度、猫ヘルペスウイルスにかかった猫というのは、免疫を持っていて症状は出ないが、猫ヘルペスウイルスに感染しています。すなわちこの猫が感染源になるということを知っておく必要があります。

治療

猫ヘルペスウイルス感染症の主な症状の結膜炎と鼻炎などが中心であれば、インターフェロン注射、抗生剤の内服や抗ウイルス薬の点眼が用いられます。
元気や食欲の低下、発熱などにより脱水していたら点滴療法を行います。ほかに角膜潰瘍を併発している場合は、角膜潰瘍の点眼とカラーをつけて治療します。また重症化して、何日も食べられない状態が続くようであれば、鼻から細い管を食道へ入れて、その管から液状の栄養や内服薬を入れます。猫の状態によっては入院して集中的な治療が行われることもあります。

予防

猫ヘルペスウイルスにはワクチンがあり、完全ではありませんが予防することができます。ワクチン接種を行うことで症状を軽くでき、発症期間の短縮もできます。また、猫ヘルペスウイルス感染症は抵抗力が弱まったときに発症するので、過度なストレスを避け、屋外に出さず、感染の機会を減らすことが大切です。
多頭飼育の場合は、発症している猫は、治療中は隔離することも感染の蔓延を抑えることになります。さらに、子猫が感染すると重篤化しやすいので、ワクチン接種を行う前の子猫やワクチンの効果が始まる時期までの子猫は他の猫から隔離することも、予防方法のひとつです。

角膜黒色壊死症という病気

ヘルペスウイルスに対する免疫反応が原因と考えられています。猫カゼと一緒に起こることもあります。目の表面に炎症が起き、黒色の色素が沈着します。発症すると目の痛みが強いため、積極的な治療が必要となります。壊死している部分が大きい場合は手術で切除しなくては痛みがおさまりません。病変が小さい場合には点眼薬を3〜4種類使って、治していきます。この病気も、ヘルペスウイルスが三叉神経に潜伏して、猫が体調が悪いときに再び病気になります。

まとめ

猫ヘルペスウイルスは、どんな猫ちゃんでも感染する可能性があり ます。ワクチンはしっかり打ち、飼い主さんも手洗いをしっかり行って予防しましょう。

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