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卵巣遺残症候群について
卵巣遺残症候群はとてもまれな病気ですが、体の中に機能的な卵巣が残っていて、そこから分泌される性ホルモンの影響で発情徴候が出てきたり、その影響で病気になるというものです。 避妊手術を行ったにも関わらず発情のような症状がみられた場合はこの病気が疑われるため、症状や外陰部からの分泌物の検査、ホルモン測定、画像検査などで診断を行います。 治療は外科手術が基本になりますが、ホルモン注射のような内科的治療を行うこともあります。
猫の肝リピドーシスについて
太っていた猫が急に食べなくなってしまうと、肝リピドーシスのリスクが高くなります。白眼や歯茎などが黄色くなる「黄疸」が出たり、痩せてしまうことで病院に連れてこられることが多いです。病状が進んでけいれんを起こしたり意識がなくなった状態で来院されることもあります。血液検査や画像検査、針生検で診断をして、入院により点滴や栄養補給の集中治療を行います。回復する猫も多いですが、治療開始後に亡くなってしまうこともある病気です。 肝リピドーシスになるような何らかの基礎疾患を持っている猫が多いため、肝リピド...
糞便検査の重要性
犬を飼って動物病院に通った経験のある方なら、一度は犬の糞便検査をやってもらったことがあると思います。下痢をした時には身体検査と並んで必ず行う検査であり、ほとんどの動物病院で健康診断の検査項目にも組み込んでいるからです。とても身近な検査である糞便検査について、検査を行う目的、検査で分かることと分からないこと、検査の方法、注意点について解説します。
マダニと重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
数年前からマダニ予防の重要性が注目されています。もともとマダニがさまざまな感染症を媒介することは知られていました。その一つがSFTSウイルスが原因となる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気です。しかし、SFTSウイルスに感染して発症する動物は人間だけだと考えられていたのです。それが2017年に犬と猫での発症が発見されたことで一気に注目度が高まりました。人間がマダニに咬まれなくても、ペットの犬や猫からこの病気が感染する可能性がある以上、しっかり予防をすることがペットだけでなく我々人間の安全にもつながる...
動物病院に行く時に知っておいてほしいことー犬編
動物病院に限ったことではないかもしれませんが、色々聞こうと思っていたのに、相手を目の前にすると頭が真っ白になってしまったり、聞きたかったことの内容を忘れてしまったという経験はありませんか?特に動物病院は、継続して病気の治療のために通院していない場合は頻繁に通う場所ではないため、一回聞き忘れてしまうとそのままになってしまうこともあるようです。それだけではなく、この準備をしておけばもっと診察がスムーズに進んでいたのに…ということもあるかもしれません。そこで今回は、ペットオーナーの方々に動物病院に行...
猫の気管狭窄
猫の気管狭窄は、呼吸する時に空気が通る気管が何らかの原因によって狭窄してしまう病気です。狭窄した部分を切除して、気管をつなげ合わせる手術をしてあげることが理想ですが、症状があっという間に進行してしまうために手術ができなかったり、狭窄範囲が広すぎる場合も手術ができません。そのため、治療が難しい病気だと考えられてきました。しかし、最近では気道インターベンションと呼ばれる治療を導入する動物病院もあり、完治には至らなくても一時的な状態の改善が期待できるようになりました。
尿検査の重要性と尿の採り方
尿にはさまざまな情報が詰まっています。今回は尿検査で分かる病気、動物病院で調べていること、尿を採取するときに気をつけてもらうたい点、犬と猫それぞれの尿の採取方法について解説します。
犬の副腎皮質機能低下症の病態と治療法
クッシング症候群の反対で、副腎皮質の機能が低下してしまい、十分な量のホルモンが分泌されなくなることで様々な不調が出てくる病気です。 クッシング症候群は特徴的な症状が多く発見が簡単であるのに対して、副腎皮質機能低下症はとにかく症状があいまいで、見つかりにくいという特徴があります。しかしながら、治療しないと(治療していても)ストレスの影響で突然具合が悪くなることもあり、非常にやっかいな病気です。
ジアルジア感染症とその治療について
子犬や子猫の時期、特にペットショップやブリーダーからお家に来て間もない頃に下痢をして、動物病院で糞便検査をしてもらったら寄生虫がいた…というのはよくある話です。人間では体の中に寄生する寄生虫がほとんど駆除されたため、飼い主さんはペットに寄生虫がいると分かるとショックを受ける方もたくさんいます。しかしながら、まだまだ動物では寄生虫の存在は珍しくありません。今回は寄生虫の中の消化管内寄生原虫であるジアルジアについて取り上げて解説します。
動物病院に行く時に知っておいてほしいことー猫編
動物病院に限ったことではないかもしれませんが、色々聞こうと思っていたのに、相手を目の前にすると頭が真っ白になってしまったり、聞きたかったことの内容を忘れてしまったという経験はありませんか?特に動物病院は、継続して病気の治療のために通院していない場合は頻繁に通う場所ではないため、一回聞き忘れてしまうとそのままになってしまうこともあるようです。それだけではなく、この準備をしておけばもっと診察がスムーズに進んでいたのに…ということもあるかもしれません。そこで今回は、猫オーナーの方々に猫を動物病院に連...
動物看護師の仕事
動物病院に行くと、受付をしてくれたり診察室で動物を抱っこしてくれたり、会計の時に薬の上げ方を教えてくれたり・・・獣医師の診察以外では常に動物看護師が寄り添ってくれています。そんな優しい姿を見て自分も動物看護師になりたいと思った、という人もいます。動物が好きでいつも笑顔でいるイメージの動物看護師ですが、実際はどんな仕事をしているのでしょうか。今回は動物看護師について解説します。
犬と猫に全身麻酔をかけるまでの流れ
人間の医療と違って、獣医療では様々な検査や処置で全身麻酔が必要になります。去勢手術や避妊手術のような手術はもちろんですが、それ以外にも皮膚にできたイボを取るときにも、内視鏡検査をするときにも全身麻酔をかけます。麻酔リスクがなければ正確な診断のためにどんどん麻酔をかけたいところですが、どうしてもリスクをゼロにすることはできません。今回は麻酔をかけるために、動物病院ではどのような準備を行い、どのような手順で麻酔をかけているのかをご紹介します。
猫の膵炎について
膵炎は犬も猫もかかる病気です。以前は検査法が今ほど発達していなかっため、非常に強い症状を示すものしか膵炎と診断できませんでした。そのため、犬の膵炎は死ぬ病気、猫は膵炎にならないと考えられていました。現在は猫では膵臓間質の線維化を特徴とする慢性膵炎が認められています。はっきりした症状がないこともあり、なかなか分かりにくい猫の膵炎ですが、飼い主さんがこの病気についての知識を持って普段から観察されると発見率も上がるかもしれません。今回はそんな猫の膵炎について解説します。
ウォブラー症候群について
小型犬が多い日本ではあまり馴染みのない病気ですが、大型犬・超大型犬を飼われている方は聞いたことがあるかもしれません。首の神経が圧迫され、足の麻痺や首の痛みといった症状がみられます。今回はウォブラー症候群について、病態、好発犬種、症状、診断、治療について解説します。
犬の膵外分泌不全
膵臓には内分泌機能というホルモンを血液中に放出して身体のバランス(主に血糖値)をコントロールする働きと、外分泌機能という消化酵素を消化管に分泌して食べ物の消化を助ける働きがあります。このうち、外分泌機能が十分に働けなくなってしまう病気が膵外分泌不全です。一般的に下痢をするというイメージのある病気ですが、中には下痢をしないケースもあり、痩せていくけど元気が変わらないため、病気だと気づかれないこともあります。今回は膵外分泌不全について解説します。
犬の脊髄空洞症について
脊髄空洞症は、近年診察する機会が増えてきた病気の一つです。その理由としては、MRI検査が普及してきてきちんと診断できるようになってきたということが挙げられます。まだまだデータが少ないため、すぐに診断できなかったり、治療法も症状をみながら考えていくということも多いのが悩ましいところです。今回は、脊髄空洞症について、なりやすい犬種、症状、診断法、治療法について解説します。
変性性脊髄症について
あまり聞きなれない病名かもしれませんが、近年注目度が高まっている病気の一つです。日本では特にウェルシュ・コーギーでの発症がみられるため、コーギー愛好家の方々はよくご存知かもしれません。今回は変性性脊髄症について取り上げます。これからウェルシュ・コーギーを飼おうと思っている方や、飼っているけどこの病気についてご存知なかった方のお役に立てれば幸いです。
特発性脳炎について
様々な原因によって犬にも脳炎が起こります。そしてウイルスや細菌、寄生虫などの感染によるものを感染性脳炎と呼び、感染がないのに起きてしまう脳炎を特発性脳炎と呼びます。特発性脳炎は自己免疫に関連した病気だと考えられています。今回は特発性脳炎について取り上げます。残念ながら完治することは難しい病気ですが、早期に発見して治療を始められる手助けになれば幸いです。
馬尾症候群について
馬尾症候群は、腰からお尻にかけての背骨が狭くなったり不安定になることによって神経を圧迫されてしまい、後ろ足の麻痺や排便・排尿の異常などの神経症状を起こす病気の総称です。 先天的に背骨が狭かったり、腫瘍が神経を圧迫していたりと、原因は様々です。しかしながら、ほとんどの場合は年をとるに連れて周囲の組織が変性してしまい神経を圧迫することで生じます。この病態を「変性性腰仙椎狭窄症」といい、大型犬の中齢期以降でよくみられます。
犬のクッシング症候群について
犬にもホルモンの病気はたくさんありますが、その中でも最も発生が多いのがこのクッシング症候群です。ホルモンは身体の中のバランス調節という働きを担っているため、ホルモン分泌に異常をきたすと様々な症状が出てきてしまいます。今回はこのクッシング症候群について説明します。
犬の糖尿病について
糖尿病は尿から糖が出てくるためこの名が付けられました。インスリンという膵臓から分泌されるホルモンは、血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込むという働きをしています。そして動物はそのブドウ糖をエネルギーとして利用しています。糖尿病になるとブドウ糖をきちんと利用できなくなってしまうため、血液中にブドウ糖が多くなったり、尿にブドウ糖が出てきてしまうのです。ただオシッコに糖が出てくる病気だと軽く考えていると、命に関わる症状を見落としてしまうこともあります。
水頭症について
水頭症とは、脳脊髄液が貯まり過ぎてしまった状態のことを言います。そして貯まり過ぎた脳脊髄液によって脳が圧迫されると、様々な神経症状が出てきます。水頭症には様々な分類がありますが、今回は先天性の水頭症を中心に、症状や治療法について簡単にまとめました。
動物病院での誤飲対処について
動物病院には、異物誤飲(食べ物ではないものを飲み込んでしまう)をした犬や猫が来院されることがよくあります。 では、実際にどういった流れで治療が進むのでしょうか。 今回は動物病院での異物誤飲の対処をご紹介します。
犬と猫のてんかんについて
てんかんは犬でも猫でもみられる病気です。 ケイレン=てんかん、と考えがちですが、それ以外の病気でもケイレンがみられることがあるため注意が必要です。今回はこのてんかんについて、簡単に、できるだけ分かりやすくまとめてみました。
犬の急性膵炎について
膵炎は、膵臓が自分自身が作り出す消化酵素を含む膵液によって消化されてしまい、炎症を引き起こす病気です。 以前は非常に激しい症状を示すものしか膵炎だと認識できなかったため、犬の膵炎は「助からない病気」、猫に膵炎はないと考えられていました。しかし現在では診断技術が進み、猫にも膵炎があり犬でも慢性膵炎になることが分かっています。 膵炎は急性と慢性に分類されますが、急性膵炎は強い腹痛が典型的で、ショック状態に陥ると命を落とすこともある病気です。ちなみに、急性と慢性の違いは組織学的な違いであり、臨床症...
レッグ・カルベ・ペルテス病(無菌性大腿骨頭壊死症)について
ちょっと聞きなれない病名ですが、成長期の小型犬に多い股関節の骨の病気です。 もともとは人間の病気として発見され、レッグ医師(アメリカ)、カルベ医師(フランス)、ペルテス医師(ドイツ)の3人がほぼ同時期に発表したため、この名前が付けられました。 はっきりした原因は分かっていませんが、遺伝に関連しているとされています。 後ろ足の大腿骨(太ももの骨)の骨頭と呼ばれる部分(骨盤と連結して股関節を作っている部分)への血流が途絶えてしまい、それにより骨頭部分が壊死・変形してしまいます。その結果として、痛み...